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ひとつの指輪はすべてを見つけ、 ひとつの指輪はすべてを捕らえ、 暗闇の中につなぎとめる。 |
古の時代‥ そして今、冥王の話も遠い神話となり‥ホビット庄(シャイア)ではのんびりといつもの平和な毎日が過ぎていた。若きホビット、フロドと何故か一向に年を取らないように見える養父ビルボの誕生日が盛大に行われようとしている時、馬車にのった魔法使いガンダルフが現れる。花火師として‥また騒ぎの元として有名な老人の姿に、子供達は諸手を上げて歓迎し大人達は眉をひそめた。この古き良き友人をビルボは喜んで家へと招きいれ、自分のかねてからの計画を実行に移すことを告げた。その計画とは‥パーティの席上にて参列者の目の前で姿を消してみせ‥そのまま帰らぬ旅へと出掛けて行くことだ。そして彼はそれを実行に移した。彼の残したほとんどの財産と姿を消すことのできる不思議な指輪がフロドへと受け継がれた。ガンダルフはそれが過去に失われた冥王の力を秘めたただひとつの指輪であることをつきとめ、フロドに旅立つよう助言する。冥王はその力を取り戻しつつあり、今このときでさえ彼の指輪‥すべてを統べる指輪の行方を追っているというのだ。フロドは忠実なる使用人で親友であるサムと共にホビット庄を後にした。彼らのすぐ後を黒い馬に乗ったサウロンの僕である黒の乗手が迫っていた。途中、友人のメリーとピピンと出会い、黒の乗手を振りきりガンダルフとの待ち合わせ場所であるブリー村の踊る子馬亭へと辿り着く。だが、そこに待っていたのはガンダルフではなくストライダーと呼ばれる野伏の一人であった。 少し前、ガンダルフは馬を走らせていた。助言を求め同じ魔法使いで力のある一人を訪れたのだ。しかしそこにいたのは指輪の力を手中におさめようとするかつて仲間だった者の変わった姿であった。力を貸すようガンダルフに要求するサルマンに、ガンダルフは彼の元を去ろうとする。しかし、サルマンはガンダルフを力でねじ伏せ、彼を塔の頂きに放置した。 ガンダルフの友人であるストライダー(アラゴルン)の忠告に従い、東にある半エルフ−エルロンドの住まう裂け谷へと向かう一向。途中、野営してる時に黒の乗手に襲われフロドが肩にその剣を受けてしまう。見回りに出ていたアラゴルンが戻り、黒の乗手を何とか撃退するが、フロドは毒がまわり状態が悪化していく。そこへ現れたのが裂け谷からの迎え、美しいアルウェン姫であった。彼女はフロドを連れ、一路裂け谷へ馬を走らせる。その後を9人の黒の乗手が後を追う。あわやという時、アルウェンの馬は浅瀬を渡り‥彼女は振り返ると黒の乗手を挑発すると共に川へエルフ語で囁いた。黒の乗手が浅瀬へ進み出ると、突然轟音と共に洪水のごとき水が上手から黒の乗手に襲い掛かる。意識を失いながらフロドは水の中に白い馬に乗った騎手の姿を見た。 目を覚ましたフロドは見慣れぬ館で、大鷲グワイヒアにサルマンの元から救われたガンダルフと、サムやホビット達‥そして懐かしいビルボと再会を果たした。その頃、そこ裂け谷のエルロンドの館に続々と客が到着していた。そして開かれたエルロンドの御前会議。指輪は冥王以外主を持たない‥ならば指輪は破壊せねばならぬ。だが、この力ある指輪は力や普通の炎では傷ひとつつけられないであろう。エルロンドの言葉は絶望的であった。ただひとつ方法がある‥滅びの山の炎に指輪を投げ込むことだ。こうして破壊する旅へと向かうことになったが‥問題は誰が行くかである。多種族入り混じっての言い争いになる中、それまで黙っていたフロドが声をあげた 一行はまず高原へと向かうがサウロンのスパイと思われる鳥の一群に警戒し、カラズラスの雪山へと向かう。しかし、そこはエルフのレゴラス以外にとって大変つらい道であった。しかもサルマンの力で雪崩が一行を襲い‥ガンダルフは行き先をフロドに選択させる。フロドが選んだのは古きドワーフの王国があったはずの(そしてギムリのいとこが無事でいれば再建されているはずの王国がある)モリアと呼ばれる地下坑道であった。 モリアへの扉は開いたが中に足を踏み込んだ彼らが見たものは。明るく出迎えるドワーフ達ではなく、変わり果てたかつてはドワーフであった死体の山であった。ガンダルフが退却を告げたその時、フロドは扉前の湖から伸びた無気味な触手に脚を取られる。アラゴルンとボロミアが湖に飛び込み、レゴラスが弓でサポートして、フロドを助け出すと、一行は坑道の中へと逃げ込んだ。扉の崩れる音が彼らを追い掛ける。入り口は閉ざされた‥先へ進むしかない。暗く長い坑道を進む途中、フロドは彼らの後をつける影を見つける。それはサウロンの指示か‥または己の欲望のためか‥指輪を追うゴラムであった。 しばらく進むと大広間(?)に出た。割れた扉の向こうには‥四角い棺が‥ギムリのいとこバーリンの墓であった。膝を落とすギムリの傍らで、ガンダルフは側に落ちていた記録書から彼らがオークに襲われ全滅したことを知る。ガンダルフの傍らでピピンが興味本位で井戸に近付いた。‥‥ガラガラガラ‥。ピピンが触れた骸骨が大きな音を立てて井戸へと落ちて行った。ピピンの軽率な行動に腹をたてるガンダルフのお小言が終ったその時‥‥遠くから叫び声と太鼓の音が響いて来た。 森の中を進む彼らはハルディア率いるエルフの一軍に囲まれた。そのまま女王ガラドリエルと王ケレボルンの前に連れて行かれる。ガラドリエルより無言の尋問を受けた彼らは、休息の場を与えられ休む事になった。エルフの歌が彼らに降り注ぎ‥レゴラスはその歌がガンダルフを悼むものだと教えた。意味を知りたがるフロドにレゴラスは悲し気に断った‥「悲しみがつのるだけだから‥」と。 フロドがふと目を覚ますと前をガラドリエルがゆっくりとした足取りで通り過ぎて行った。誘われるように後をつけるフロド。ガラドリエルは大きな水鏡のフロドの前に提示した。中を覗くフロドは仲間達の顔やビルボの顔‥そして変わり果てたシャイアの姿を見る。そして炎に縁取られた大きな目も‥。首に下げられた鎖の先の指輪が吸い寄せられるように水鏡に近付く。寸でのところでフロドは水鏡を離れ後ろに転がった。ガラドリエルは告げる‥今見たものは起こりうることであると。フロドは指輪をガラドリエルに差し出すが‥彼女は指輪の誘惑にうちかち‥それを拒否した。 一行はエルフ達に見送られ再び船で川を下る旅にはいる。先頭をアラゴルンがフロドとサムを乗せて、ボロミアがメリーとピピンを乗せて後に続き‥最後をレゴラスがギムリと荷物を乗せていった。川の旅はそれまでの旅とは違い順調に進んでいるかのように思えた。しかし、サルマンの放ったオークと人間を掛け合わせたウルク=ハイの一群が彼ら目掛けて迫っていた。 視界に入りきらないほどの大きな石像(兄王イシルドゥアと弟王アナリオン)が両側に立つアルゴナス門を抜け、彼らは滅びの山のあるモルドールへとさらに近付いた。滝の目前で彼らは岸へと船をとめると休憩に入る。サムは早くも横になって眠りはじめいたがフロドがいないことに気付くと飛び起きる。フロドは考え事をしながら歩いていたが声をかけられて我に返る。薪拾いをしているボロミアだった。しかし、彼の親切な忠告の裏に彼の本心を見てフロドは後ずさりした。彼の警戒心を解こうと語るボロミアだったが次第に本音を表す。指輪を取ろうと掴み掛かるボロミアの腕を抜け、フロドは指輪をはめて姿を隠すと逃げ出した。木に躓いて我に返ったボロミアは指輪の誘惑に嵌った自分を恥じ謝罪するが‥その声がフロドに届くことはなかった。 指輪をはめたフロドには遠くモンドールの塔にいるサウロンの目が見えた。その目が自分を探していることに気付くと慌てて指輪を外した。ようやく息をつくフロドだったが背後に気配を感じて振り返った。そこには彼を心配して探しに来たアラゴルンがいた。試すように指輪を彼に差し出すフロド。 フロドは走った。彼を追うオークに、そうはさせまいと剣を振るうアラゴルン。レゴラスとギムリも駆け付ける。 主の言動を予測したサムは彼が一人で旅立とうとしていることを察し、慌てて船まで戻った。川の中程までに進んだ船の上にはやはりフロドの姿があった。叫びながら追い掛けるサム。彼が泳げないことを知っているフロドは戻るように言うが、サムは聞き入れず川へ飛び込み、ついには水中に沈んでしまう。フロドは彼を船に引き上げ‥二人は対岸へと進む。 ボロミアの遺体を滝へと埋葬した後、アラゴルンは彼の形見に彼の身に付けていた小手をはめる。二人の後を追おうと船を出そうとするレゴラスだったが、アラゴルンが動かないことに気付いて振り返る。アラゴルンはフロドは彼の運命に従ったといい、自分達はメリーとピピンを助け出すことをレゴラスとギムリに提案する。三人はオーク達を追って森へと戻って行った。 対岸へ渡ったフロドはサムの気持に感謝を示しながら、暗いモンドールを見下しながら足を踏み入れる決意を新たにする。 【二つの塔に続く?】 |